BEAT
『鼓動』

	ADRIAN BELEW	guitar, lead vocal
	ROBERT FRIPP	guitar, organ, frippertronics
	TONY LEVIN	stick, bass guitar, support vocal
	BILL BRUFORD	drumming

評価：★★（バラード中心でおとなしめ）

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01	NEAL AND JACK AND ME	ニールとジャックと私
02	HEARTBEAT	鼓動
03	SARTORI IN TANGIER	サートリ・イン・タンジール
04	WAITING MAN	待っている男
05	NEUROTICA	ノイローゼの国
06	TWO HANDS	二つの手
07	THE HOWLER	喚く人間
08	REQUIEM	鎮魂歌

計35：23

エイドリアン・ブリューはギタリストして特異の存在ですが、ヴォーカリストとしての技量も並々ならぬものがあると思っています。このアルバムはバラードが大きな割合を占めていて、あたかもブリューの歌をメインに置いたかのような作品です。アメリカ、ケンタッキー州生まれのブリューは、湿気の帯びた声質といいまとわりつくような歌い方といい、ジャズやカントリーが良く似合うというよりは、いたって英国のストレンジ・ポップを歌うために生まれてきたような天性の存在感を感じます。その歌声はカラッとした青い空の下広い大地で聴きたいのではなく、どんよりとした曇り空の下アングラな地下室で聴きたくなるのだ。

しかしながら[05]のブッ飛んだヴォーカル・スタイルは爽快ですらある。前作に続き奔放な独白パートは躍動感があって情熱的です。いつまで経ってもグレッグ・レイクやジョン・ウェットンと比較されるだろうけど、[02] [06]のバラードだってこれはこれで味がある。あとはメロディが日本人好みかどうかの問題だけでしょう。

ブリューのヴォーカルが多い分、演奏はいたってシンプル（に聞こえる？）で、その点では物足りなさが残ります。インストが2曲ありますが、これはクリムゾンの歌モノアルバムだと言っていいのではないでしょうか。ブリューも歌うことに忙しく、演奏では前作ほど突出した印象は感じられませんでした。

〈2001.06〉