メロウ

		MELLOW
		PERFECT COLORS

		全14曲／計57：27（ボーナス・トラック2曲収録）
		ビクターエンタテイメント VICP-62564
		2,520円（2004/01/21発売）

		［フランス］2004年作
		ゴージャスでカラフルなサイケ・ポップ・サウンド

		オフィシャルHP＜http://www.mellow-workshop.com/＞

とにかく熱かった。いや、何がって、ストレンジ・デイズ3月号におけるレヴューがです。フランスの2人組みによる、「手放しで褒めまくった」というファーストを経ての2作目を紹介した米田郷之氏の文章は、久しぶりに目を奪われました。小スペースにも関わらず、サイケ、エレクトロ、SE、逆回転、ストリングス、ホーン、ノイズ、シンフォニー、エキゾティック、スペイシー、スリリング、カラフルなどありったけの興味津々な言葉がところ狭しとひしめき合い、奇天烈音楽を追い求める私の心を刺激することこの上なく、どうにも気になってしょうがない。近年はエレクトロ作品も一筋縄ではいかない名作が多く、このコーナーでもムーム、レモン・ジェリーとエレクトロ系プログレ・ポップを取り上げてきたのでなおさらです。

早速当のアルバムを聴いてみると、なんともゴージャスで華やかなサウンド。先の2者とは質感がかなり異なりますが、なかなかのヒネクレ加減。音を詰め込むだけ詰め込み、エフェクトで遊ぶだけ遊んでてんこ盛りにしたという感じですが、それでもグシャグシャしてやかましいという印象が無いのが不思議。聴かせるところをキチンと聴かせている、そんなアレンジの妙技を備えた人たちなのでしょう。サウンドだけではなく比重の高いヴォーカルも、甘ったるい歌詞が乗っかった甘酸っぱいメロディ・ラインが鮮明で、一度聴いたら病みつきになるセンスを持っています。

メンバーの2人ともよほどのポップ、ロック好きとみえて、様々なジャンルやバンドからの影響を聴き取ることができます。古いおもちゃ箱をひっくり返したような、記憶に刷り込まれているフレーズがそこかしこで出てきたりすると、ついついニヤリとしてしまう。バグルスが頭をよぎったかと思えば、ピンク・フロイド的な歌が流れ、プログレにも相当の造詣がありそうです。なんてったって、バンド名がプログレ・ファンならその名を聞いただけで涙腺がゆるんでしまう“メロトロン”から来ているというのだから、こりゃ参った。道理でメロ～～でトロ～ンなわけだ。実際、随所にメロトロンの幽幻な響きがサウンドに色づけをしてるんです。

ファースト・アルバム

『アナザー・メロウ・ウィンター』

またファースト・アルバムもすぐに購入したのですが、これがまた楽しい作品。何をさておいても5曲目を語らないではいられません。オリジナル曲にも関わらず、いつのまにかまるっきり［エピタフ］になっちゃってる。泣く子も黙るキング・クリムゾンの壮大なバラードそっくりに、です。いや～～、どこまで本気なのか、ゲラゲラと笑いが止まりませんでした。コワイモノ知らずの若者がこうして出現するにつれ、ロックはいつの時代もイイもんだと思わせてくれます。最後になりましたが、先の米田さんはこのグループを“21世紀版ピンク・フロイド”と言い切りました。さて、アナタならどう聴く？

〈2004.05〉

MELLOW