アパラット・オルガン・カルテット
		APPARAT ORGAN QUARTET
		全9曲／計47：37
		P-ヴァイン PCD-22242
		2,310円（2006/04/21発売）
		［アイスランド］2002年作
		オルガン4台＆ドラム1台による痛快明快な氷国ポップ！
		オフィシャルHP＜http://www.johannjohannsson.com/＞

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近年のアイスランドのシーンはとても元気だ。ビョークやシガー・ロス、ムームはもとより、半年ほど前に買ったベンニ・ヘム・ヘムなんていうソロ・プロジェクトも良質のポップスを聴かせてくれた。そしてこのたび、シーンの中心に居座りそうな勢いを感じるバンド、アパラット・オルガン・カルテットが日本に上陸！　本作は2002年に発表されたデビュー作ですが、リマスターを施されて再発、日本で日の目を見ることとなりました。

このバンドのユニークなところはその編成にあります。オルガン、ファルフィサ、ロシア製のシンセサイザーなどを操る鍵盤奏者が4人とドラマーが1人という変則的な構成です。過去にはデビュー時のトータスがベーシスト2人＋ドラマー3人という編成で活動していて、結果ファースト・アルバムのようなストレンジな傑作が出来上がったのですが、さて変則編成による妙味旨味が出せているでしょうか。と期待しつつ再生してみれば、4台の鍵盤楽器を緻密にかつ複雑怪奇にアレンジしきれているかというと、やや疑問は残ります。しかしながら、ブ厚く迫力のある元気一杯のサウンドは、そんな器用な細工を吹き飛ばすにあまりある訴求力を備えています。いやはや！なんとも清々しい！

アイスランドというとエレクトロの音質に特徴があり、シガー・ロスやムームなどは聴いてすぐにそれと分かる個性を持っていますが、多分に漏れずこのバンドにもそんなアイスランドらしい音が聴こえてきます。氷が転がり落ちるような音、冷た〜い空気のような透明感のある澄んだ音、オーロラが降り注ぐような壮大な音等々、まさに氷国の音色。その音色にクラフトワーク、シガー・ロス、ステレオラブ、トランズ・アムなどのエッセンスを加えて、さらにプログレやヘヴィー・メタルの心意気を取り込んではオリジナリティを発揮。トランズ・アムのようなハードでグルーヴィーな[03]があったり、[07]のウネウネとするリフはマリリオンの［彼女はカメレオン］を想起させたりします。が、まあそんな細かいことを気にする暇もなく、1曲目から圧倒的なエネルギーで恍惚の彼方へ導いてくれますのでご心配なく。

ホームページにはライヴ・パフォーマンスの画像が掲載されていて、まるで“コの字”になったクラフトワークのよう。クールな印象ですが、奏でる音楽はモーレツにホット！　否が応にも次作を期待しないではいられません。

〈2006.09〉